
貧困の悪循環
長年、貧困問題を社会課題として取り組んできた私たちは、とある解答に辿りつきました。
それは、ケイパビリティの欠如 が貧困を生じさせる大きな要因になっていることです。ケイパビリティとは、人間が人間らしく生活するための基礎的な能力を指します。
下記の図は、ケイパビリティの欠如による悪循環を示したものです。

このケイパビリティを涵養(水が自然に染み込むように、無理をしないでゆっくりと養い育てること)できれば、貧困に対処する「個人の力」が生まれてくるのです。
貧困とは
明日、食べるモノを買うお金がないのも貧困です。また、お金があっても文字が読めなくてお金を使う術を知らないとしたら、それも貧困です。貧困とは、総じて低所得、栄養不良、不健康、教育の欠如など、およそ人間らしい生活から程遠い状態を指します。
下記の図は「貧困と豊かさの要素を示す相関図」を示したものです。

さまざまな要因(相関図)が絡み合い「貧困」を作ります。また、その背景には、ジェンダー(社会的に規定された性差)や環境の問題があることも忘れないでください。
要 因 | 具体例 | 結 果 |
保護能力の欠如 | 安全に対する欠如や脆弱性 | 生命を危険にさらす |
政治的能力の欠如 | 権利が保障されていない | 自由・安全を奪われる |
社会的文化能力の欠如 | 誇りを失う | 生存が危ぶまれる |
人的能力の欠如 | 教育や保健が不十分 | 経済的な貧しさ |
経済的能力の欠如 | 食べ物、衣類等の不足 | 生存が危ぶまれる |
経済的に苦しく生活に困窮していたり、精神障害を患ったことで良好な人間関係を築けなかったり、知的障害や広汎性発達障害を背負ったことで十分な教育を受けれなかったりすると、識字(文字の読み書き)能力や思考能力などの「生活をする上での基礎的な能力」が育くみにくいこともあります。
視覚障害を背負ったことで、視覚情報は一切遮断され、聴覚のみで生活を余儀なくされます。身体障害を背負ったことで、不自由な生活を余儀なくされます。社会資源(施設、制度、機関、知識や技術などの物的、人的資源の総称)から疎外されたり、社会参加(社会人として、社会の一翼を担うこと)ができなかったりもします。
私たちが取り組む3つのアプローチ
単なる家事援助や身体介護、外出支援に留まらず、文字が読めないという状況(非識字)を解消することにより、問題解決の手がかりを得られるので日常生活に必要な教育サポートを行っております。
居宅介護計画の立案時には、保健・衛生の改善に取り組み、健康な体力作りを促す日々の外出支援や住環境の衛生保持に心がけています。規則正しい生活基盤を構築していくと徐々に自律神経が修正され、快適さ感じる記憶を取り戻します。それが定着すると、自発的に動ける力も養われ、それが働く力になると就労にも繋がっていきます。
私たち支援者との信頼関係の構築が、Quality of life(クオリティ オブ ライフ)の向上に寄与します。